こんにちは!
大学受験エリートのSuuです。
高校数学の見どころ、落とし穴、勉強のポイントを紹介していく
るるぶ高校数学のコーナーです。
今回は、
数Ⅱ 式と証明 その1 二項定理(覚え方編)
です。
いよいよ、数Ⅱに来ましたね。
式と証明の単元から観光していきましょう。
この「式と証明」ですが、単純に言うと「計算問題いろいろ」を扱う単元です。
こう書くと簡単そうに感じますが、そうではありません。
大学入試の数学における、実戦級の計算を多々学習する単元です。
ここで言う実戦級とは、
「標準問題や、難問を処理するための、キーとなる式変形」
という意味です。
そのため、この数Ⅱの『式と証明』を学習するときには、
㋐計算そのものをスムーズにできるよう、練習する
㋑その計算をする目的や意味を知っておく
の2点を重要視して下さい。
㋐は当然ですね。計算がメインの単元ですから。
問題は㋑の方です。
この式変形にどういう効果があるのか?
どういう場面で、何を狙って式変形をするのか?
を知っておくと、後々の実戦演習で役に立ちます。
とはいえ、いきなり㋑までマスターするのは難しいです。
まずは、㋐の部分。
スラスラと計算ができる!
を目指して、キッチリ計算練習を積みましょう。
さて、そろそろ今日の話題、「二項定理」について扱いますか。
二項定理は非常に重要な公式なのですが、
そもそも式の意味が分からない
という人が続出する難関な公式です。
そのため、今回は「覚え方編」として解説していきます。
ポイント① 二項定理の『式の見方』
非常に重要な定理である、二項定理を学習します。
(a+b)n
=nC0an + nC1an-1b + nC2an-2b2 + …… + nCn-1abn-1 + nCnbn
というのが二項定理です。
は~~~い、そこっ!
逃げない!!
見た目が凄まじく、逃げ出したい気持ちは分かります。
でも、これから「この式を習得するためのコツ」を紹介しますから。
少しだけ、一緒に頑張りましょう。
まず、「暗記 or 理解」以前に、「式の意味」をとらえましょう。
急にすごい公式が出てきてビックリしましたよね。
まず、今まで学んだ公式たちを見て、
ちょっと気持ちを落ち着けましょうか。
(a+b)2=a2+2ab+b2
(a+b)3=a3+3a2b+3ab2+b3
(a+b)4=a4+4a3b+6a2b2+4ab3+b4
……
ん? 4乗は習ってないって?
4乗はただのオマケなので、あまり気にしないで下さい。
さて、この公式たちを少しいじってみます。
(a+b)2=1×a2+2×ab+1×b2
(a+b)3=1×a3+3×a2b+3×ab2+1×b3
(a+b)4=1×a4+4×a3b+6×a2b2+4×ab3+1×b4
……
隠れていた「1×」を引っ張り出して、文字の部分と数(係数)の部分を色分けしました。
青くした係数の方に注目してください。
さて、もうちょっと改造しましょうか。
(a+b)2=2C0×a2+2C1×ab+2C2×b2
(a+b)3=3C0×a3+3C1×a2b+3C2×ab2+3C3×b3
(a+b)4=4C0×a4+4C1×a3b+4C2×a2b2+4C3×ab3+4C4×b4
……
急に出てきた「C」ですが、これは組合せで習ったCです。
例えば、
4C2=4×3/2×1=6
です。
具体的な数字だった公式と、「C」を使った公式を見比べて下さい。
1つひとつ計算してみると、実は係数の値は一致していて、「C」で表した公式が正しいことが分かります。
(実際に計算して確かめてみて下さいね。)
そして、これが2項定理です。
今まで習ってきた公式を、「C」を使って表現した
と捉えましょう。
さらに、2乗、3乗、……では飽き足らず、
「一般のn乗」について記述したのが二項定理です。
(a+b)n
=nC0an + nC1an-1b + nC2an-2b2 + …… + nCn-1abn-1 + nCnbn
いかがでしょうか。少しは雰囲気が掴めましたか。
最初のうちは慣れなくて仕方ないです。
ですが、今まで習った2乗、3乗……の展開公式の仲間、
似た公式として見えるよう、訓練しましょう。
この『式の見方』ができないと、「暗記派」も「理解派」もお手上げになってしまいますからね。
ポイント② 二項定理を覚えるコツは、『法則性』に注目すること
二項定理の、「式としての意味」はなんとなく見えるようになりましたか?
くり返しますが、2乗、3乗……の公式の仲間として理解してくださいね。
さて、式が見えるようになったら。
この二項定理を覚えましょう。
は~~~い、そこっ!
逃げない!!
分かります、気持ちは分かります。
でも、これから「覚えるコツ」を紹介しますから。
少しだけ、付き合って下さいよ。
左辺は、いいですね。
(a+b)2,(a+b)3,……たちの親玉として、(a+b)nを考える。
問題は右辺です。
右辺の各項を縦に並べて書いてみましょう。
nC0an +
nC1an-1b1 +
nC2an-2b2 +
…… +
nCn-1a1bn-1 +
nCnbn
変化しない部分を黒、変化する部分を赤と青で色分けしました。
ついでに、隠れていた「1乗」も引っ張り出しています。
赤字→1ずつ数字が増えていく
青字→1ずつ数字が減っていく
という法則性が見えますか?
ついでに、
赤字+青字=n
というのも重要な法則性です。
この3つの法則に注目するのが、二項定理を覚えるコツです。
(補足1 a0=1のような式に慣れた人は、a0、b0を補うのも面白いので、チャレンジしてみましょう。)
(補足2 変化する部分、変化しない部分にわけて整理するのは、数列の「Σ計算」でも重要です。コッソリ覚えておきましょう。)
いかがだったでしょうか。
二項定理は、
そもそも公式の意味が不明
複雑すぎて覚えられない
の二重の観点で、難易度が高いです。
まずは、覚えられないと始まりません。
式の見方ができて、式の意味が分かる
公式の法則性が分かる
ができると、案外覚えられるようになります。
数Ⅱの最初から大変ですが、なんとか頑張りましょう!