こんにちは!
大学受験エリートのSuuです。
高校数学の自学自習や復習をしたい人のために、
高校数学のみどころ、落とし穴、勉強ポイントなどを紹介する
るるぶ高校数学のコーナーです。
今回は、
数Ⅰ 数と式 その4 1次不等式
についてご紹介します。
「1次不等式を解く」こと自体は、そこまでハードルが高くありません。
中学1年生で勉強した、1次方程式の解法とあまり差がありませんからね。
厄介なのは、絶対値が絡んだ問題です。
否が応でも「場合分け」と立ち向かわないといけません。
「教わった解き方にそって、計算して、答えを求める!」
という意識だと、どうしてもつまづきがちです。
どうして場合分けが必要なのか?
に意識をめぐらせながら、計算の背景にある「ロジック」に注目して、
計算練習をしましょう。
この辺りから、「場合分け耐性」を上げておかないと、
後の2次関数で大変なことになります。
また、連立不等式の扱いや、1次不等式の場合分けでは
「または」と「かつ」の使い分けを要求されます。
論理と集合を本格的に学ぶ前なので、この段階で理解するのは難しいかもしれません。
こちらについては、「そういうものだ」で無理やり納得するのも一案。
ポイント① 1次不等式の解法 負の数をかけると、不等号の向きが変わる
1次不等式の解法でおさえるべきは1つだけです。
負の数をかけると、不等号の向きが変わる
ことが分かっていればOK。
それ以外は、中学1年生の1次方程式の解法と変わりません。
これは、非常に基本的な計算です。
計算練習を繰り返して、しっかり「体で」覚えましょう。
一方で、後の絶対付きの問題への対応や、今後さらにハイレベルな問題への対応を考えると、
ロジックの部分もおさえておきたいですね。
つまり、
負の数をかけると、不等号の向きが変わるのはなんで?
を理解しておきましょう、ということです。
理屈自体は単純で、
2 < 3
-2 > -3
の2つを見比べてみましょう。
正の数どうしの比較は、絶対値が大きい方が大きい
負の数どうしの比較は、絶対値が小さい方が大きい
となっています。
なんとなく、負の数をかける……つまり、符号が変わると、
大小関係が逆転することがイメージできると思います。
なんでこんな話をするのか? ですが、後々、次のような不等式の処理を扱うことになります。
2 < 3
1/2 > 1/3
逆数をとると、不等号の向きがひっくり返りますね。
分母が大きいほど、分数全体としては小さくなる、とも言えます。
……こういう知識が、「特にちゃんと説明されることなく」急に出てきます。
あるいは、ちゃんと習ったこともないのに、使いこなすことを急に要求されます。
そういうときにビックリしないためには、
不等号の向きについて、自分の頭で考える
訓練が大切になります。
取り組みやすいこの段階で、しっかり意識して勉強するのがオススメです。
ポイント② 場合分け 絶対値を外すとき、文字をかけるとき
いよいよ、場合分けが本格的に出てきます。
大学受験の数学を乗り切るためには、
自力で場合分けを考える
力が求められます。
ただ、最初はそこまで気負わずに行きましょう。
勉強したパターンの場合分けを、しっかり処理できる
ことから目指しましょう。
ただ、わけもわからずパターン暗記をしているのも効率的ではないので、
「場合分けの理由」とセットで覚えるのが大切です。
A. 絶対値付きの1次不等式
「絶対値」を見たら、
場合分けをして、絶対値を外す
のが基本だと思って下さい。
(補足:2乗して絶対値を消し飛ばすなど、別の方法が使える場面もありますが、
基本は場合分けです。)
そして、「場合分けの理由」もセットでおさえます。
絶対値が出てきたけれど……
→絶対値があると、他の部分とまとめたりできず困る
→計算のため、絶対値を外したい
→絶対値は、中身の正負で外し方が異なる……
→あれれ、絶対値の中身の正負が、文字になっていて分からないぞ?
→仕方ないから、絶対値の中身の正負で場合分け
赤字にした部分、最後の2つが重要です。
これが、「場合分けの動機」にあたります。
基本的に、場合分けをする動機は
〇〇が分からなくて困っている
から来ます。
〇〇が分からないから、〇〇の値・条件で場合分けしよう
と考えて場合分けをするので、最初の動機部分が掴めないと、
自力で場合分けができるようになりません。
B.文字をかける・割るときの場合分け
これも、「場合分けの動機」を意識します。
両辺にaをかけて分母を払いたいなあ
→かける数の正負によって、不等号の向きを変えるかどうかが変わるのだけど……
→あれれ、かける数aが文字で、その正負が分からないぞ?
→仕方ないから、aの正負で場合分け
という流れで考えます。
最後の赤字部分が、
場合分けの動機→場合分け
の流れです。
ここでも、
〇〇が分からなくて困るから、〇〇で場合分け
という流れであることに注目しましょう。
ついでに、このパータンの場合分けでは、
「錯覚」との戦い
も重要です。
文字aを見たときに、
aは正かもしれないし、負かもしれないし、0かもしれない……
ときちんと認識できるかどうか、ということです。
錯覚との戦いについては、前回の記事に詳しくかきましたので、
そちらも参考にして下さい。
https://juku-elite.com/contents/id/191/
問題の解き方や、場合分けの仕方自体は、パターン暗記でも十分です。
最初ですからね、いきなりすべてを理解する必要はありません。
ですが、演習をする際には
場合分けの動機 〇〇が分からなくて困っている
の部分には、必ず注目して下さい。
本当にただのパターン暗記で終わるか?
重要なポイントを意識しつつ、パターンを覚えるか?
この差が、後々大きな実力差になっていきます。
ポイント③ 数直線での解の扱い
連立不等式や、場合分けが絡む不等式では、
数直線を使って解を考察する場面が出てきます。
これ、地味に分かりにくい部分です。
「または」と「かつ」について精密に学習していないことが原因です。
説明や用語も、人それぞれかもしれませんね。
共通部分……両方ともが成り立つところ
合体部分……どっちかが成り立つところ
の2パターンがあるんだぞっ、ということは意識しましょう。
問題はこの2つの使い分けなのですが、今の段階では、
「この問題の、この部分の計算では、こっちを使うらしい」
という暗記で誤魔化すのも一案です。
もしも、最初からすべて理解人は……
やはり、「または」と「かつ」という言葉で理屈を整理したいですね。
どこが「または」なのか?
どこが「かつ」なのか?
を意識しましょう。
「または」のときは合体部分、「かつ」のときは共通部分を使うのが、
2つを使い分ける基準です。
1次不等式の計算自体は、あまり難しくありません。
ですが、絶対値や場合分けが絡むだけで、難易度が跳ね上がります。
恐ろしいですね。
これぞ高校数学、という感じです。
残念なことに、絶対値や場合分けからは逃げられません。
どこまでも、どこまでも付いてきます。
逃げたくなる気持ちをグッとこらえて、今の段階でしっかり向き合い、
克服していくことを強くオススメします。
絶対値・場合分けが、サインやコサイン、微分積分などの、
更に厄介な連中とつるむ前の、今が一番の練習チャンスですよ!