こんにちは!
大学受験エリートのSuuです。
高校数学の勉強法、勉強のポイントを分野別・単元別に紹介していく、
るるぶ高校数学シリーズです。
今回は、
数A 場合の数 その2 数え上げの基本
です。
場合の数の問題ですが、高校数学の中で地味に独特かもしれません。
数学は得意だけど、場合の数だけは苦手
数学は苦手だけど、場合の数だけは好き
という両方の声を、けっこう聞きます。
場合の数の勉強ポイントって、あまり伝わっていないんだなあと感じますね。
落とし穴を踏みやすい単元なのは確かなので、この記事で勉強の指針をしっかり確認して欲しいです。
場合の数では、これからPやCを用いた計算を学習していきます。
どうしても、そういう新しい計算に目が行きがちなのですが、
大切なのはその前段階です。
今回は、順列のPや組み合わせのCを用いた計算に入る前の、
数え上げの基本的な心構えについてご紹介します。
数え上げの基本① もれなく、重複なく
これぞ、基本にして極意!
『もれなく、重複なく』
最重要の心構えですね。
よく言われる言葉ですが、地味に意味が分かりにくいので、補足します。
もれる→数えるべきパターンを忘れてしまう
重複→1つのパターンを2回、3回繰り返し数えてしまう
という意味です。
とはいえ、これが本当に難しい。
大学に合格するそのときまで、この言葉を向き合い続けることになります。
1つひとつの問題を解く中で、常に『もれなく、重複なく』を意識しながら、
取り組んでいって欲しいです。
1つ、コツがあります。
意識の仕方なのですが、
『もれはないかな?』
『重複しているものはないかな?』
と、自分の数え上げをチェックするのがコツになります。
最終的には、問題を解く中でセルフチェックをするのが理想なのですが、最初は中々ハードルが高いです。
そこで、最初の訓練として、
数え上げの問題で「間違えたとき」に、「もれ」「重複」のチェックをする
ことから始めましょう。
具体的には、
正しい答えより、自分の答えが小さい→「もれ」がある
正しい答えより、自分の答えが大きい→「重複」がある
ことが多いです。(複合することもありますが。)
そして、
自分は、どういうパターンを「数えもれ」したのか?
自分は、どういうパターンを「繰り返し数えた」のか?
を確認し、その原因を探って向き合いましょう。
この繰り返しが、「もれなく、重複なく」を極める道です。
数え上げの基本② 「もれ」がなく、「重複のない」場合分け
「場合分け」というと、嫌な思い出がある人もいるかもしれません。
ダイジョウブ、数Ⅰで扱ったような場合分けは出てきません。
というか、中学校でもやっています。
例えば、「樹形図」は典型的な場合分けですよ。
a,b,cの3文字を並べかえる問題だったら、
最初がaの場合、次はbかcで……
最初がbの場合、次はaかcで……
と考えて樹形図をかきますよね。
この、「最初が〇の場合、……」と分けていくのが、まさに「場合分け」です。
このときに、意識して欲しいのが。
「もれ」なく場合分けをする→最初がa、最初がb、最初がcの全パターンを網羅する
「重複のない」場合分けをする→最初がaのパターンと、最初がbのパターンには被りがない
からこそ、樹形図でうまく答えが出せるということです。
学習を進めると、「〇の場合は……、◇の場合は……」と場合分けをしながら数え上げる場面が出てきます。
このときに、
すべての場合を網羅した場合分けか?
分けた場合に、被りはないか?
を意識して、確認しましょう。
場合分けの技術は「もれなく、重複なく」に直結しています。
問題を間違えたときに、「場合分けがおかしくなかったか?」を意識して見なおすことで、
適切な場合分けができるようになっていきましょう。
数え上げの基本③ 何を区別する? 区別しない? を意識する
「重複なく」の精度を上げるとともに、
有名なつまづきポイントである「CとPの使い分け」のために大切な内容です。
「CとPの使い分けが分からない!」
という悩みは非常に多いです。
判断するポイントは、
[1、2、3]と[3、2、1]は区別して、2通りと数える
{1、2,3}と{3、2,1}は区別せず、1通りと数える
のどちらのシチュエーションなのか? です。
決して、
並べる→P、選ぶ→C
みたいな安直な理解をしてはいけません。
(並べるのにCを使う問題や、選ぶのにPを使う問題なんて、
いくらでも作れますよ。)
先ほどの例では、[]か{}のような、カッコの種類で「区別する、区別しない」を表現しましたが、実戦はそのように表現してくれません。
問題の設定に合わせて、
順番を変えたものを区別して考えるのか? 区別しないで考えるのか?
を都度、認識して判断します。
ここがグラグラしたままだと、いつまでも「CとPの使い分け」は習得できません。
本当に注意して欲しいです。
補足なのですが、「区別する・区別しない」については、暗黙のルールが存在します。
・人は区別する
・異なる色の球は区別するが、同じ色の球は区別しない
などが、暗黙のルールになっています。
こういった暗黙のルールもおさえながら、毎回の問題で、
「何を区別するのか? 何を区別しないのか?」
を意識しながら、演習に取り組んでいきましょう。
数え上げのポイント④ 「対応関係」のパターンを意識する
「もれなく、重複なく」が基本かつ極意であり、この力はポイント②・③を通じて伸ばしていきましょう。
それとは別に、上級者を目指す人は「技」の側面も意識しましょう。
「技」の側面で大切なのは、
「対応関係」
という意識です。
中学校でも学んだ内容で言うと、例えば樹形図。
[a,b,c]
という並びを、
a-b-c
と視覚化して整理します。
それぞれの枝1つと、実際の並び1つを対応させることで、
視覚的に数え上げを行うのが樹形図でしたね。
これから出てくる内容でいうと、例えば最短経路。
網目状の道の最短経路1つと、矢印↑、→の並び1つを対応させて、
矢印の並び替え問題として処理する……なんて内容を学びます。
数え上げの問題の、数学的な面白さは「対応関係」にあると思います。
数え上げる対象に、うまく対応関係を入れて、
より処理がしやすく、数えやすい対象としてとらえ直して、数える。
これが数え上げのテクニック部分です。
どういう問題に、どういう対応関係を入れているのか?
を1つひとつ意識しながら、パターンとして整理するのがオススメです。
場合分けの技術を磨き、「区別する、しない」の認識力をあげることで、
「もれなく、重複なく」数える地力を磨く!
絶妙な「対応関係」を覚えることで、技を磨く!
この2つを磨くことが、場合の数の勉強ポイントです。
CだのPだのは、処理速度を速めるための表面的なテクニックにすぎません。
(判別式DじゃなくD/4も使えるか? のようなものですね。
あると確かに便利、程度のものです。)
表面的なところにとらわれて、大切な地力を技を磨く視点を忘れないようにして下さい!