センター試験が生まれ変わり、2021年度から開始した大学入試共通テスト。
テストの詳細に様々な変更が加えられましたが、その中でもリスニングとリーディングの配点比率の変化は大きなものでしょう。
これまでのセンター試験での配点はリーディングが200点、リスニングが50点であったのに対し、大学入試共通テストではリーディングが100点、リスニングが100点、1対1の配点比率となりました。
その分、試験時間と試験問題も増加しました。
しかし、大学入試共通テストのリスニング問題の形式の大抵は決まっているものなので十分に対策可能です。
配点が高くなったから、と負担に感じるのではなく、リスニングで稼ぐことができる得点が増えたと考え、しっかり対策を行いリスニングを得点源にしてしまいしょう。
試験対策をする上で過去問題を解くことは必須事項です。
しかし、ただ問題を解くだけではいけません。
問題形式と難易度を把握し、自分が苦手な形式は何か、理解するよう努めましょう。
大学入試共通テストリスニング問題の語彙は、基本的には英検2級レベルだといわれています。
出題される英文をどの程度理解することができるのかだけでなく、苦手な出題形式も把握し対策を進めるとより高得点へ近づくことができるでしょう。
高得点をとるために必要なスキル
・英語を正確にききとり理解するスキル
耳に入ってくる英語が理解できなければリスニングは始まりません。
問題の中には図やグラフを利用した複雑な問題もあるので、正確な理解が高得点の鍵になります。
・英文をすばやく読み取るスキル
リスニングといっても選択肢や提示される情報は英語で書かれています。
それらを素早く読み取らなければ、流れてくる音声の聞き取りに集中することができなくなってしまいます。
・図や表、グラフの概要を瞬時に理解するスキル
大学入試共通テストのリスニング問題は図や表が多いことが特徴の一つです。
解答を導く上で必要な情報であるため、限られた時間の中で瞬時に理解することが重要です。
・メモをとるスキル
第5問など、音声が一度しか流れないにも関わらず300単語程の長い文章が流れる問題もあります。
解答に必要な情報を取捨選択しながらメモをとることは大切です。
・集中力
リスニングは共通テスト一日目の最後の試験科目であることや、試験中に休憩時間がないことを考えると集中力も肝心です。
対策1 語彙を増やす
先述した「英語を正確にききとり理解するスキル」と「英文をすばやく読み取るスキル」の土台となるのは語彙、つまり英単語です。
知らない単語・意味が分からない単語を聞き取ることはできませんし、理解することもできません。
覚えている英単語が多くて損をすることはありません。
リスニング問題の理解に少しでも不安がある場合はとにかく英単語帳に取り組みましょう。
英単語を見た一瞬でその単語の意味がパッと頭に思い浮かぶ程度になるといいです。
対策2 ディクテーション&シャドーイング
ディクテーション(Dictation)=聞こえてきた音声を一語一句、文字にして書き留めること。
シャドーイング(Shadowing)=まるで影のように、聞こえてきた音声のすぐあとを追って同じ音声を発すること。
これらは「英語を正確にききとり理解するスキル」につながります。
また、過去問題や定期試験、模試などの問題を復習するときにオススメの勉強法です。
リスニング問題を復習するとき、どちらか一方をやるのも構いません。
しかし、ディクテーションをしてからシャドーイングを行って問題文と徹底的に向き合うようにするとより効果的です。
ディクテーションの作業は単純で、リスニング問題の音声を流しその音声を紙に書きだすだけです。
しかし、完璧に書きだすことは決して簡単なことではありません。
それでも書きだしている紙に空白がたくさんできても構いません。
聞こえてくる音声を自分で書きだすことで、自分の聞き取り能力を視覚化することができ、弱点の把握につながります。
<おすすめのディクテーションの流れ>
1.スクリプトを見ずに全体の音声を聞き、内容の概要を把握する
2.1~2文ごとに音声を止め、書きだす
3.自分で書いたものを確認しながらもう一度全文を聞き、適宜書き足していく
4.書きだしたもののスペルミスや複数形、冠詞、前置詞の抜け落ちなどを自分でチェック
5.スクリプトと自分が書いたものを照らし合わせチェックする。
ディクテーションするには何度も英文を聞く必要があるため、まずリスニングに慣れることができます。
正しいスペルで書けない単語や、理解できていない文法が見つかったり、単語の正しい発音を確認することができたりします。
是非ディクテーション用のノートを作って挑戦してみてください。
シャドーイングの作業も単純で、音声を聞きながらそれを真似して声に出すだけです。
聞こえてくる音声のすぐ後ろを影のようについていきましょう。
“影”ですから、音声のイントネーションやリズム、調子、強弱も同じように真似しましょう。
文章の意味や文法を思い浮かべながらシャドーイングを行うと復習として効果的です。
この点で、ディクテーションをシャドーイングの前にやっておくと、自分が聞き取ることができなかった単語や文法を意識しながらシャドーイングすることになるので、好ましいです。
このように、シャドーイングは、いわゆる“ネイティブの英語”のスピードやリズムに慣れ、それを聞き取り理解する練習になるうえ、スピーキングの練習にもなります。
対策3 普段から設問を先読みするようにする
共通テストのリスニング問題(特に後半)は問題の前提となる条件や情報が多くあります。
第1問や第2問などの、情報量が少ない問題が早めに終わった場合は第5問などの表やグラフを読み込んでおくとよいでしょう。
気づいたら1回だけ流れる音声が流れ終わっていた、というようなことが少なくなります。
ですので、普段から共通テストのリスニング問題を演習するときは、設問の先読みを習慣にしておきましょう。
対策4 自分のメモの形式を決めておく
これは「メモをとるスキル」に直結します。
リスニング中のメモは必要最低限で行いつつも解答に必要な情報をとらなければなりません。
そのために、メモで頻繁に使う単語などがあれば自分なりの記号などを決めておくと便利です。
また、図や表、グラフに書き込みすることも多い方は、書き込みが乱雑にならないよう体裁を整えておくとより良いでしょう。
対策5 アメリカ英語以外にも慣れ親しんでおく
大学入試センターによると
「現行の大学入試センター試験の英語表記はアメリカ英語を使用。※試行調査(プレテスト)においてもアメリカ英語を使用 ⇒共通テストでは現在国際的に広く使用されているアメリカ英語に加えて、場面設定によってイギリス英語を使用することもある。」
とのこと。
実際に、イギリス英語が問題に含まれていることもありましたので、アメリカ英語以外に触れておくことは重要になってくるのではないかと思います。
アメリカ英語とイギリス英語では、リズムや抑揚、Aの発音、Tの発音、Rの発音などなど…大きく違います。
模試や入試で普段とは違う英語に突然出会って混乱してしまわないよう、その違いは知っておくとよいでしょう。