こんにちは!
大学受験エリートのSuuです。
高校数学の勉強法、見どころ、落とし穴を紹介する、
るるぶ高校数学のシリーズです。
今回は、
数B 数列 その7 色々な数列(階差、群数列)
です。
→前回
そろそろ、数列の記号には慣れてきましたか。
添え字や「……」を含んだ式が頻出して、最初はしんどいですね。
ですが、この辺りから上記の表現には慣れておかないと苦しくなります。
シグマ計算にも慣れていきたいところですが、
こちらは時間がかかります。
シグマ記号をサクサクと使えるようになるのは、
入試実戦演習をする段階でも大丈夫です。
今のうちから、コツコツ訓練していきましょう。
さて、今回は階差数列・群数列について紹介します。
等差・等比と比べると、少々厄介な数列です。
数学的な概念として難しいというよりは、
「処理に手間がかかる」
ためです。
そのため、演習量が大切な内容になります。
ポイント① 階差数列の公式で「記号への慣れ」をチェック
数列anに対して、隣り合う2項の差を並べた数列を階差数列といいます。
例えば、
1, 2, 4, 7, 11, 16 , ……
の隣り合う2項の差は
1, 2, 3, 4, 5, ……
となっています。
これが、元の数列の階差数列です。
さて。この定め方を聞いて。
anの階差数列をbnとすると、
bn=an+1-an
という関係式がパッと浮かびますか?
あるいは、関係式の方をみて、
bnの意味がパッと浮かびますか?
この「関係式」と「意味」の変換を、スムーズに行える必要があります。
「数式の記号に慣れている」とは、そういう状態です。
いきなり、そんなことはできないよ……という人のために、
さきほどの
1,2,4,7,11,16,…
で考えてみましょう。この数列をanとします。
隣り合う2項の差を順番に計算しましょう。
2-1=1
4-2=2
7-4=3
11-7=4
16-11=5
……
この数が、階差数列bnです。
b1=1, b2=2, b3=3, b4=4, b5=5, ……
ということですね。
さて、今の計算を「数列の記号an」を使って表現します。
a2-a1=b1
a3-a2=b2
a4-a3=b3
a5-a4=b4
a6-a5=b5
……
これらの関係式を、文字nを使ってまとめて書きましょう。
赤字にした、添え字の数字に注目しましょう。
同じ番号は同じ文字で、1つズレた番号は+1で表現すればよいので、
an+1-an=bn
と書けます。
元の階差数列の数式表現にたどり着けました。
文章にすると、中々に長く、重たい内容です。
ただ、数列の「その1」から注意していることですが、
この変換がサラサラとできることが重要です。
そうですね……今の階差数列の数式と意味の変換が、
「0.1秒以下の時間で、すぐに分かる・できる」
ラインが目標です。
今からでも遅くはないので、この点を意識しながら数列の勉強をしましょう。
ポイント② 階差数列の一般項は、等比数列の一般項の応用
anの階差数列をbnとすると、anの一般項は
an=a1+Σbk
となります。
(Σで足す範囲は、k=1からn-1まで)
この公式は、等差数列の一般項と同じ考え方をしています。
等差数列は、
anは、a1に公差dを(n-1)回足したもの
だから、
an=a1+d(n-1)
と考えました。
同じ要領で、階差数列の場合は
anは、a1にb1,b2,b3,……,bn-1を足したもの
だから、
an=a1 + (b1+b2+b3+……bn-1)
と考えます。
これをΣ記号で表したのが、階差数列の一般項の式です。
いちいち暗記するような式ではありません。
階差数列の意味から、ただちに従います。
ですが、
ベースとなる等差数列の一般項の考え方
シグマ記号
の2つに対して、習熟していないと、理解ができません。
だから、繰り返し
公式暗記ではなく、意味を理解する訓練をしよう
等差数列の一般項の公式は、暗記したら負け
と主張してきました。
上記の視点を甘く見ていた人は、この辺りから苦しくなります。
今からでも遅くはありませんから、上記2点に注意して、
数列の勉強をやり直しましょう。
ただし、階差数列の公式は注意点があります。
それは、
n≧2 でしか成立しない
ことですね。
こういう細かい注意点があり、ウッカリしやすいです。
そのため、大学入試の実戦の観点からすると、
可能ならば回避したい計算
と思ってOKです。
ポイント③ 群数列は、情報整理能力が問われる
1, | 2, 3 | 4, 5, 6, | 7, 8, 9, 10, | 11,……
のように、グループ分けされた数列を群数列といいます。
「|」を使って、グループ分けの境目を表しています。
難しい漢字が使われているのが地味に厄介(?)です。
「群」というのは、「グループ」「集まり」という意味です。
(「郡」ではないので、地味に注意。)
「第2群」みたいな言い方が出てきますが、
「2番目のグループ」という意味です。
群数列の問題ですが、
「情報整理能力」
が問われます。
具体的には……
第〇グループで、数が何個あるの?
第〇グループの、最初と最後の数は何?
第〇グループの、最初の数は全体の数列では何番目?
などの情報を、丁寧に処理して、まとめていきます。
必要な情報は問題によって異なりますが、
各グループの、最初と最後の数の規則性に注目する
と、整理しやすくなります。
先ほどの
1, | 2, 3 | 4, 5, 6, | 7, 8, 9, 10, | 11,……
なら、各グループの最初の数は
1,2,4,7,11,……
となっていて、この数列の階差に注目するのが1つの攻め方になります。
(この場合は、各グループの個数から攻めた方が楽ですが。)
群数列ですが、全体↔各グループの変換に伴って、
添え字を取り換えたり、添え字を変換したり
という作業が発生します。
そのため、添え字の取り扱いに習熟していないと、
ただ混乱するばかりで、群数列に対して歯が立ちません。
群数列でも、
「記号への慣れ」
が問われているという点は、意識しましょう。
数列の中盤戦と言える階差数列・群数列ですが、
序盤の等差・等比数列での学習姿勢が問われています。
序盤を公式暗記で乗り切ろうとした人は、
残念ながら階差・群数列で脱落する可能性が高いです。
そしてそのまま、終盤の漸化式・数学的帰納法でも壊滅します。
階差・群数列で困った人。
「記号の意味」を理解する練習をおろそかにしていませんでしたか?
この記事の勉強ポイントを「その1」から見直して、
数列の勉強法を見直しましょう。
次回ですが、数列の終盤戦に入る前に「基本」の振り返りを入れる予定です。
終盤で出てくる漸化式・数学的帰納法で困らないよう、
念のため「基本」の確認をもう一度やりましょう。
お楽しみに!