このカテゴリーでは、参考書・問題集おススメ4選を使って学習する際に、前もって知っておきたいことをIzu(いず)が質疑応答形式でお話しします。
第19回は、地理【全カテゴリー共通】編です。
これからの地理の学習にお役立てくださいね。
① 地理は負担が少ないって聞きましたが、おススメですか?
はい、確かに日本史・世界史と比べますと、地理は「暗記すべき量」は少ないですね。
これは、用語集に載っている「用語数」を比較すると分かるのですが、【日本史>世界史>地理】、となります。
昔は「オジサンの地理」なんて言葉がありました。
地理の学習内容は、年を取るといわゆる「常識」である部分が多かったりもします。
ですが、「じゃぁ地理の方がいいに決まってるじゃん!」とは必ずしもなりませんので、場合分けをして説明していきますね。
◇ 共通テストでのみ「地歴」が必要な方
この場合は、地理を選ばない理由はほとんどないといっても過言ではありません。
日本史・世界史は、文系の選択科目のメインですから、ちょっと勉強したくらいでは高得点は望めません。
逆に、文系の選択科目で地理を選ぶ人は少ないですので、少ない学習時間でも点数も取りやすい、ということになります。
日本史・世界史・地理で共通テスト平均点に大きな差がついてしまうと、受験に有利・不利な科目が生じるということになるので、そうならないように問題は作成されます。
似たような平均点にするとなると…もうお分かりかと思います。
日本史・世界史はそれなりに難しくしないと、平均点が高くなってしまいますね。
その意味で、共通テストでしか地歴を必要としない方は、地理がおススメとなるのです。
(※地歴公民から1科目の場合は、現代社会など公民系もおススメです!)
◇ 私立大・文系学部の受験で「選択科目」に地理を選ぼうとしている方
この場合、地理=易しめ、ということにはなりません。
地理の学習に時間をかけてきた受験生が相手となるのですから、当然と言えば当然です。
そして、それ以上に気を付けるべき点があります。
それは、【地理選択の場合、受験できる大学がかなり絞られてしまう】という点です。
例えば、早稲田大学や立教大学は、ほとんどの文系学部で地理を受験科目に採用していません。
これはあくまで一例であり、全体として地理で受けられる大学・学部(文系)は全体の2~3割といったところではないでしょうか。
ご自身の併願校がおおよそ確定しており、全て地理で受験できるというのであれば問題はありません。
ですが、まだ第一志望以外は決まっていない、といったような場合、仮に第一志望の大学は地理で受験できたとしても、併願校選定でかなり選択の幅が狭まってしまうのです。
(文系数学や政治経済も、地理と同様に受験できる学部・学科が狭まります。)
志望校が決まっていない、学部・学科も決めていないといった状態であれば、文系選択科目ではオールマイティーな日本史もしくは世界史にしておいた方が無難です。
◇ 歴史系科目がどうしても苦手な方
いくら日本史・世界史が文系科目のオールマイティーとはいえ、入試本番で点数を取れなければ選択したメリットなど活かせません。
日本史・世界史に強烈な「アレルギー」を持っている場合は、他の科目の選択も考えていいかもしれません。
(ただの先入観で日本史・世界史を避けているだけであれば、もう一度考えてみましょう。)
他の科目というのは、文系志望であれば【地理or政治経済or文系数学】になります。
この時、「好きだから」「苦手意識がないから」という視点だけでなく、「志望大学・学部の入試科目になっているか」までを調べた上で、選択するようにしましょう。
後から併願校を増やす際に制約はあるかもしれませんが、そのデメリットを地理選択のメリットが上回るのであれば、良い選択となるのではないでしょうか。
② 地理の勉強って、暗記が少ない分どのような勉強をするといいですか?
暗記量が少ない代わりに、「資料・データの読み取り」が重要になってきます。
もちろん、日本史・世界史ほどではないとはいえ、地名や用語も覚える必要はあります。
ですので、参考書に加え、用語集と一問一答、さらには「地図帳」、そして最新の「データファイル」を手元に用意しておく(大学受験用に市販されているものでOKです)ことをおススメします。
基本は参考書をイチから(系統地理→地誌)理解していき、登場する重要用語・地名等は用語集や地図帳を用いて正確に理解するようにしましょう。
また、気候や輸出入・人口など「データ」が頻繁に登場しますので、上記のデータファイルも参考にしながら進めるといいですね。
区切りのいいところまで学習が進んだら、一問一答などで基本用語をアウトプットする時間を設け、正しく知識が引き出せるかを確認します。
と、ここまでは他の社会系科目と学習イメージは大きく変わりません。
歴史系であれば「タテ(時系列≒因果関係)」や「ヨコ(同時代の他国とのつながり)」を意識して学習しますが、地理は以下の項目を意識しましょう!
◇ 要因
地理は思考力が特に問われます。
普段の学習において、「何が要因となってそうなるのか」「統計上位にくる国は何が理由なのか」といったような原理や背景知識をおさえることを意識しましょう
◇ ロケーション
地理の問題では、場所を問う問題は定番中の定番ですので、地理学習において「地図帳」は不可欠となります。
参考書を読んでいる最中や問題の解き直し時に、位置が頭の中で浮かばない地名や都市名が出てきたら、面倒くさがらずに地図帳で必ず確認するという習慣をつけましょう。
◇ 国ごとの特徴比較
「A国とB国の輸出・輸入額とその内訳を、グラフを参考に読み取れることを述べなさい。」というように、国や地域間を比較する問題もみられます。
地理の学習は、順番としては「系統地理」で分野ごと(例:気候)に学習し、「地誌」で地域ごと(例:ヨーロッパ)に整理し掘り下げる、といった進みになります。
「地誌」学習の際には、その地域・国に関することは当然として、他の地域・国との違いも意識しながら学習していきましょう。
③ 導入が済んだ後は問題集と過去問でひたすら演習すればいいですか?
系統地理→地誌と学習がひと通り終わったら、いよいよ問題集・過去問の出番です。
遅くとも高3の夏休み明けくらいからは、問題集を使っての得点力強化に学習ステージを移せるように持っていきたいですね。
それはさておき、入試レベルに近い問題での演習となると、解き始めの頃は間違いが多発することが予想されます。
その不正解問題をどれだけ復習で掘り下げられるかが、入試での得点力を左右します。
例えば、正しい選択肢を1つ選ぶ正誤問題で、正解ではない選択肢を選んでしてしまったとします。
ご自身が選んだ選択肢は、解いている時点では「正しい」と思っているはずですので、データの読み取りが不正確だったのか、近辺の理解があいまいだったのか、間違えた原因をまずは分析します。
その上で、参考書・用語集・データファイル・地図帳を駆使して、間違えた問題の周辺事項を再度確認するとよいですね。
逆に、本来は正解の選択肢を、ご自身は正解だとは思わなかった訳ですから、こちらもやはり周辺事項を入念に確認する必要がありますね。
このように、間違えた問題もしくは根拠が不明瞭な問題はとことん復習で深堀りし、ご自身の理解と知識の補強に役立ててください。
もちろん、間違えた問題には✔印を入れておき、2周目の際に正しい理解を「引き出す」ように丁寧に解きましょう。
さらりと2周目と書きましたが、問題集は入試レベルよりやや易しめな問題集1冊、入試レベルの問題集1冊は最低限用意し、それぞれ最低限2周し得点力を養ってくださいね。
それが終わりましたら、いよいよ過去問演習です。
過去問演習で気を付けるべき点は、制限時間は当然として、もう1点、「傾向」です。
資料・データを読み取る問題が多い、必ずと言っていいほど「ヨーロッパの農業」が大問で出題される、日本の交通に関する問題が出やすい、など、受験する大学・学部の問題には何らかの傾向が見られるはずです。
(傾向がないのが傾向です、という場合もありますが…その場合は「総合力勝負」ですね!)
よく出題される分野で、失点が多い場合は、直前期に早急につぶしておきましょう。
最後になりますが、地理の問題集は、日本史や世界史と比べるとどうしても数の乏しさは否めません。
このサイトでは、その中から特におススメな問題集を各カテゴリーでレベル別に4冊ずつご紹介していますので、そちらも併せて参考にしてください。
(1冊目に「共通テスト対策問題集」を持ってくるのもアリです!)
以上、よくある地理の「全カテゴリー共通」に関するQ&Aでした~!
現役生の中で最も点差がつきやすい選択科目、地理を敢えて選択する方は、そのデメリットよりもメリットが大きいと判断した方でしょうから、確固たる得意科目とするよう、細かく学習を進めていってくださいね。