こんにちは!
大学受験エリートのSuuです。
高校数学の勉強のポイント、落とし穴などを紹介する
るるぶ高校数学のシリーズです。
今回は、
数Ⅰ 三角比 その2 三角比の基本的な計算
です。
→前回
三角比ですが、今後いたるところで出現します。つらつらと書きますと、
数Ⅱの三角関数は「sin,cos,tan」がガッツリ主役。
円の式を見たら、sin,cosでのパラメータ表示が1つの手筋。
傾きをtanで処理するのも大切な手筋ですし……
ベクトル、複素平面などの「図形」に関わる内容なら、必ずsin,cosが顔を出します。
とにかくもう、今後の数学は三角比まみれです。
(ついでに言うと、物理でもバンバン登場します。)
普段の定期テスト対策から、標準~難関の受験問題まで、sin,cosと末永く付き合うことになります。
中学数学では、中1最初の「正負の数」の計算ができないと非常に苦しいです。
同じように、高校数学はsin、cosの扱いに慣れていないと始まりません。
この段階でつまづくと本当に大変です。
きっちり練習して、記号の扱いに慣れていきましょう。
今回は、三角比の基本的な計算について紹介します。
ポイント① 「sinθ」で1カタマリ
基本的ながら、習得が難しい感覚があります。
「sinθ」で1カタマリで、1つの数だ
という感覚です。
sin30°=1/2
というように、『sin〇』が1つカタマリであり、1つの数を表しています。
複数の文字で1つの数を表すという記号は、これまでありませんでした。
計算練習をしながら、この新しい記号の感覚をつかみましょう。
ポイント② 「2乗」の表記に慣れよう
『sin〇』が1つのカタマリなので、その2乗は
(sin〇)2
と表すのが普通です。
ですが、三角比の「なんとか乗」は、
sin2〇
と、この位置に指数をつけます。
この表記にも慣れる必要があります。
三角比の2乗をスムーズに書けて、また2乗を的確に認識できるようになりましょう。
この「認識」の方が地味に厄介です。
a2-b2 の因数分解ならパッと見やすいのですが、
cos2θ-sin2θ
の因数分解もパッと浮かぶことが大切です。
どちらも同じ式構造だと認識できるためには、それなりの訓練が必要です。
ポイント③ 有名な三角比の値は暗記しない
学習が進むと、30°、45°、60°の三角比の値を習います。
この値ですが、暗記は厳禁です。
これらの具体的な値こそ、定義を習得するための絶好の具体例です。
必ず、具体的に直角三角形をかいて計算するようにして下さい。
大げさですが、ここで丸暗記に走ると、確実に三角比が苦手になります。
きちんと、定義に従って計算するようにしましょう。
練習に練習を重ねることで、
直角三角形はかかなくても頭の中で考えられる
あまりに繰り返し過ぎて、結果的に値を暗記する
状態になれます。
というより、この状態になれていない人は、
確実に練習不足です。
もっともっと、反復練習を積みましょう。
ポイント④ 三角比の相互関係も、覚えるまで繰り返し練習
相互関係が出てくるあたりで、三角比の計算が本格化します。
㋐tanθ=sinθ/cosθ
㋑cos2θ+sin2θ=1
㋒1+tan2θ=1/cos2θ
の3つ学習するのが標準的です。
㋐~㋒の3つは、三角比を扱う上での超基本になります。
分数を扱うときの通分・約分みたいなものです。
覚えるとか覚えないとかではなく、
なんかもう体に染みついた「当たり前」になるまで練習が必要です。
(㋒は少し使用頻度が少ないかもしれません。)
最終的には、「当たり前」「覚えた」状態になるまで練習するので、
最初の入りは暗記・理解のどちらでもいいと思います。
ただ、どこかで一度はその意味を振り返っておきたいですね。
㋐は三角比の定義から明らかです。
というより、㋐をtanの定義と思っていいぐらいです。
㋑は三平方の定理そのものです。
そういう意味で、いちいち暗記するほどのものではないかもしれません。
三平方の定理の重要性を考えると、㋑の公式が三角比計算の生命線と言えます。
本当に色々な場面で使うので、三角比をみたら常に㋑が頭の中にある状態を作りましょう。
㋒は、三平方の定理㋑の派生形です。
㋑の両辺をcos2θで割ることで得られます。
ちょっと覚えにくい式なので、私は暗記はしておらず、
毎回㋑から一瞬で導いて思い出しています。
『三角比の計算ができる』ためには、㋐・㋑はサラサラと使いこなす必要があります。
通分・約分がサクサクできないと、分数の計算はおぼつかないですよね。
それと同じ感じです。
基本的な問題で構わないので、三角比の相互関係を使った計算練習を繰り返し、
計算のリズムを体に叩き込んでいきましょう。
ポイント⑤ 『90°ーθ』は図をかいて確かめる
sin(90°ーθ)=cosθ
といった、「90°ーθ」に関係する三角比も習うと思います。
これらの式も、非常につかみにくいと思います。
まず、本当に大切な事実をここで確認します。
sin、cosは分配できない
です。
sin(90°ーθ)≠sin90°ーsinθ
です。かっこを分配することができないのですね。
定義から当たり前と言えば当たり前ですが、うっかりしやすいので注意しておきましょう。
そのうえで、「90°ーθ」の公式は、
毎回図形をかいて、考える
のをオススメします。
いや、「90°ーθ」だけなら、暗記でもいいのです。
「sinとcosが入れ替わる」
とだけ覚えればOKですから。
(tanは、sinとcosの入れ替わりと、相互関係からすぐに思い出せます)
ただ、問題は……
「90°+θ」
「180°ーθ」
といった、似たような公式が大量に出てくることです。
そして数Ⅱになるとこの手の公式がさらに増殖します。
10個は越えるのではないでしょうか?
似たような大量の公式を覚えるのは非常に大変で、間違いやすいです。
そのため、
「90°ーθ」の公式から、
毎回図形をかいて、考える
という訓練をするのがオススメです。
ここで暗記に逃げると、本当に後悔しますよ!
この辺りまでが、三角比の序盤戦になります。
この後、90°をこえる角に対しても三角比の定義を広げて、
一気に「正弦定理」「余弦定理」に入っていきます。
そうすると、急激に三角比の利用が本格化します。
そのため、この段階でキッチリ計算練習を積むことをオススメします。
三角比の利用が動き出すと、どうしても色々な定理に気を取られます。
その前段階で、きちんと三角比の計算に慣れておきましょう。