【問題集・参考書の活用法 英語 第6回 : 「英文解釈ナビ」】
このカテゴリーでは、Izu(いず)が様々な参考書・問題集の使い方の例を解説します。
第6回は、日栄社さんから出ている英文解釈用の参考書・問題集「英文解釈ナビ」です。
毎度の定型文ですが、解説のスタンスは、この参考書・問題集を使うなら、ということです。
良い・悪いは個人の好みや学習状況で変わってきますので、それには触れません。
既にお持ちの方、これから参考書・問題集を買おうとしている方のお役に立てれば幸いです。
では、本題へ!
<長文読解の本格的学習に入る前に取り組むべき一冊>
日栄社さんと言えば、「30日完成シリーズ」をまずは思い浮かべる方が多いですかね。
昔からある薄めの使いやすい問題集で、いつの時代の受験生にとっても始めやすいものでした。
その日栄社さんから発売されている「ナビシリーズ」、今回は「英文解釈ナビ」をご紹介します。
英文解釈ってそもそも何??と疑問に思う方もいますでしょうか。
簡単に言いますと、単語・イディオム・文法の習得知識を用いて、英文が伝えたい意味を正しく汲み取る、そういった訓練です。
全然簡単に言ってないじゃないじゃないかと。すみません、もっと簡単に言います。
「英文の意味を正しくつかむ訓練」です!
英文法がひと通り固まった後、いきなり数百語あるような長文読解の学習にシフトする前に、まずは英文解釈の訓練を取り入れたいのです。
英語の長文は、【長文全体 → 各パラグラフ → 一文一文】と細分化できます。
至極当たり前のことで恐縮ですが、英語の長文は一文一文が集まったものですね。
つまり、一文一文の意味を正確につかむ力があれば、英語の長文は時間さえかければ読める状態になるはずなのです。
長文読解の学習はむしろ、本文の内容に関する設問処理を訓練する学習であり、また、時間内に長文を読んで解答する訓練であると言えます。
英文解釈の訓練は、これまで学習した単語・イディオム・文法の知識を長文読解につなげる「橋渡し」の役割を果たしますので、長文読解中心の学習に移る前段階の学習に取り入れてください。
前置きが長くなってしまいました。
この「英文解釈ナビ」は、大きくPart1とPart2で構成されています。
どちらのPartも、英文が110用意されており、全て「日本語に訳しなさい」となっています。
このうちPart1は、各設問に「テーマ」がついており、英文の下には訳す上での注意点が述べられています。
また、Part1の各ページの下には「NOTES」という欄がついており、そこに単語やイディオムの意味が載っていますので、英文の構造をじっくり考えることに集中した学習ができます。
具体的に1問、例に出してみますね。
096.接続詞を含む構文(接続詞thatに前置詞がつく)
We are very familiar with the idea that humans are everywhere ; that wherever you go in the world you will probably find people there already .
We are an unusual species in that we have a near-global distribution .
■接続詞のthatの前に例外的に前置詞が置かれることがあります。in that + SV~ で「~という点で、~なので」の意味を表します。
NOTES
096.□ be familiar with~ : ~をよく知っている
□ unusual : まれな・異常な
□ species : 種
□ distribution : 分布
読んで和訳する上で、「ほう、ここに注意すればいいんだな。」というポイントを前もって把握しておけます。
単語やイディオムの意味も載っていますので、わざわざ辞書を引いたりする手間もかからなそうです。
試しに和訳してみましょう!
第1文の最初のポイント、the idea that~ このthatはまず何でしょう。
そうですね、「接続詞 同格that:~という名詞」です。
この同格thatが「;(この文では言い換えの役割)」の前後で2つ並んでいる、と見切れますね。
もう1つのポイント、wherever以下をどこで区切ってどう訳しますか。
wherever~worldまでが「どこに(で)~しようとも」という譲歩の副詞節になっていると見切れましたか(この文はworldとyouの間にカンマを打ってくれていないだけです)。
この2点を押さえれば、以下のような和訳になるはずです。
→ 人はどこにでもいる(という考え)、つまりは、世界のどこに行こうともおそらくそこにはすでに人がいる(と分かる)という考えを、私たちはよく知っている(考えに、私たちは馴染みがある)。
そして第2文に、in that~が出てきます。
ポイントの内容を確認し、和訳に反映させてみましょう
→ ほぼ全地球的に(near-global)分布している(分布を持っているだと不自然なので意訳)点で、私たちは稀な種なのである。
こんな感じでしょうか。
訳し終えたら解説を見て、自分の英文構造の捉え方が正しいかどうかをまず照合します。
各設問ごとに1ページ解説が割かれており、そこで文の構造を丁寧に解説しています。
文の要素(S・V・O・C)も英文の下にふられているので、文と文のつながりが視覚的にも分かりやすくなっています。
そして最後に、解説の和訳例とご自身の和訳を比べ、直すべき箇所があればその原因を英文に戻って確認するようにしましょう。
そしてPart2ですが、Part1にあった「テーマ」の記述がなく、あるのは単語・イディオムの意味の補足だけとなります。
Part1で培った英文構造を見切る力を、入試本番に近い形で練習するようなイメージになりますね。
こちらもPart1と同様に、【構造を把握する→訳してみる→解説の構造と照合→和訳の修正箇所確認→本文に戻ってズレた原因を究明】という学習をしましょう。
このように、構造把握のヒントあり(Part1)→ヒントなし(Part2)+丁寧な文構造の解説(全問)という構成が、「英文解釈ナビ」の使いやすいところですね!
長文読解に苦手意識がある方でも、この学習を取り入れることで「なんだ長文って見た目ほど厄介じゃないんだな!」と分かると思います。
もちろん、国公立大学の二次試験英語の定番問題「和訳せよ」のいい訓練にもなります!
繰り返しですが、英文解釈の訓練は、これまで学習した単語・イディオム・文法の知識を長文読解につなげる「橋渡し」の役割を果たしますので、長文読解中心の学習に移る前段階の学習にぜひ取り入れましょう。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
「長文なんて、一文一文の集合体。正確に一文を訳す力があれば、読めない訳がない!」と思えるよう、英文解釈の訓練を適切なタイミングで始めましょう。
入試本番まであまり時間が残されていない方は、この英文解釈の学習と長文読解の基本レベルの学習を並行して行ってください。
今回ご紹介させていただきました【英文解釈ナビ】、Part1とPart2で220問あります。
短期間で終わらせる自信がないなぁ、と感じる方も多いであろうことは予想できます。
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それではまた次回。
See you !