「階差数列?等差数列と何がちがうの?」
そのように思われた方はいらっしゃるでしょう。
数列と聞いただけで「無理…難しい…」と拒否してしまう…。
「等差」や「階差」などが付けば余計に混乱しますね。
今回は、その苦手意識を少しでもやわらげるため、簡単・丁寧に解説いたします。
実は階差数列も等差数列を使えば解答できるのです。
そのためまずは、等差数列を確認してみましょう。
もっとくわしく知りたい場合は別の記事にあるので参考にしてください。
ここでは簡単な仕組みと公式をお伝えします。
階差数列の前に等差数列の復習!
数列とは規則正しい数字の並びです。
等差ですから、1番目と2番目の数字が3つの差であれば、次のように並びます。
例えば、この並びで「20番目の数は?」と聞かれた場合、次のような公式で求められます。
はじめの数は2。公差は数と数の等しい差ですから3。その3が、”求めたいN番目より1つ少ない数分”あります。ですから「公差×(N-1 」が公式の一部にありますね。
※単に公式を覚えればいいという考え方はおすすめできません。中学校以降の数学で躓く可能性があるからです。公式の意味や考え方がしっかり説明できればOK!もしも公式の意味を説明できないときは、以前の記事を確認してみましょう。
話を戻しますね。今回は20番目ですから、次のようになります。
20番目の数=2+【3×(20-1)】。これを求めると2 + 3×19=59 答えは59となります。
いかがですか?意外と簡単に見つかりますね。では次に階差数列について解説します。
階差数列とは?
階差数列は次の数列の中に隠されています。と、その前に「等差数列」を探してみましょう。
1段目の「2、3、5、8、12、17…」の差(赤字)を見ると「1、2、3、4、5」のように1ずつ増えているのが分かりますね。
つまり階差数列に「等差数列」が隠されているのです。つまり、グレーで囲った部分が「等差数列」。
逆にいえば「等差数列」が入っている数列が「階差数列」ともいえるでしょう。
このように隣り合う数字の差を調べてみると具体が見えてきます。
「実は新たな数列(この場合等差数列)が隠されていた!」と発見できれば、階差数列は攻略できるのです。
段階を追って順に探ってみる→ある規則性を発見する…。
この流れを、まるで宝探しのように感じられたら算数嫌いはなくなるかと思います。
数列に苦手意識をもっている子ほど、最初はゲームやクイズ感覚で数列探しをしてみるといいでしょう。
階差数列の謎を解こう!
では、早速次の( )に何が入るか考えてみましょう。
【例題1】3、6、11、18、27、( )、51…の( )はいくつでしょうか?
この場合も同じように差を求めます。
差は左から3、5、7、9、?…となっていますね。
隣り合う数字の差を求めたらこのようになりました。階差数列です。
さらに下段の数列の規則性を探ってみましょう。
2、2、2となっているのが分かります。
つまり等差数列ですね。
よって、27の次の( )の数字を求めるには青い矢印の?が求めればOK。
一見ぱっと11と分かりますが、公式でも確認しましょう。
5番目の数→3 + 2×(5-1)=11。合っていますね。
そこで一番上の段、つまり27の次の数字を求めてみます。
27+11=38。( )の数字は38と分かりました!
このように階差数列も等差数列の考え方を使って解けます。
これが分かれば随分ハードルが下がりますね。
親子や友達で問題の出し合いっこをしてもいいでしょう。
慣れてきたところで、次のような問題にも挑戦してみてください。
階差数列で〇番目の数を求めるには?
さて、次のような問題があったとします。
【例題2】2,6,12、20、30…の階差数列の51番目はいくつになりますか?
まず、差を調べてみましょう。すると次のようになります。
つまり、グレーの「等差数列」を確かめます。
が、先ほどの問題との大きな違いにお気づきでしょうか?
実は例題1の場合、前の数字が27と分かっていたので、
27 + 11=38というように簡単に求められました。
しかし今回は「前の数字」が一切わかりません!
そのため「前の数字」をどうにかして求めなくてはいけませんね。
そこで「等差数列の和」の考え方を使うのです。
「え~等差数列の和って忘れちゃったよ」という子もいるでしょう。
だいじょうぶです。一緒に確認しましょう。
まずグレーの部分↓が「等差数列」ですから、実際は図のように(51-1)番目の数になります。
■まず「50番目の数」を求めましょう。
等差数列のN番目の数を求める公式を使います。
はじめの数+【公差×(N‐1)】ですから、
4+2×(50‐1)=102。
グレーの部分の「等差数列」の50番目は102となりました。
■次に、50番目までの和を求めます。以前お伝えした「等差数列の和」の図をもう一度ここで復習しましょう。
次に2番目の4と9番目の25を足しても29。 3番目の7と22で29…。最終的に、29のセットが合計5組できますね。
結果、10個の数列の和は「はじめの数」と「おわりの数」を足したものを5(つまり10組÷2)セットできますから、29×5で145。145の等差数列の和となります。
先ほどの問題に戻りましょう。
グレーの部分の「等差数列」のはじめの数は4、50番目の数は102となりますから、それを(50÷2)で割ります。
つまり(102 + 4)×(50÷2)=2650。
2650がグレー部分の「等差数列」50番目の数字までの和となります。
■図を見てお分かりのように、50番目の数までが2650ですが「階差数列」51番目の数の「はじめの数2と2650を足した数字」となりますね。
よって2 + 2650で2652。
このように、階差数列には等差数列があるのですが、計算しているうちに「あれ?何をもとめていたんだっけ?!」と混乱する可能性もあります。
そうならないよう、〇で囲んだり印をつけたりして「自分が今何を求めているのか」整理して解くようにします。
次の問題で確かめてみましょう。今回はあえて途中で図を入れません(最後に出します)。
【例題3】次の数列の15番目の数字は何でしょうか?
2 6 14 26 42 …
■こちらも同じようにまずは差に注目!
2、6、14…に印をつけていきましょう。差が「4、8、12、16…」となっていくのが分かりますね。
つまり4つずつ増えています。
■等差数列発見!
階差で15番目ですから、こちらの等差数列では14番目の数を求めることになります。
公差は4。「はじめの数」+【公差×(N-1 )】に当てはめると
4 + 4×(14‐1)=56となりました!
■等差数列の14番目までの和は?
(はじめの数+おわりの数)×(N÷2)ですから、
(4+56)×(14÷2)=420
■最初の数列(階差)に戻って確認!
はじめの数は2ですから2 + 420=422。よって答えは422となりました。
図で表すと次にようになります。
まとめ:階差数列の中から”お宝”を探そう!
いかがでしたか?階差数列はまったく新しい分野ではなく、等差数列の考え方を活かして解けるのです。
つまりお宝は「等差数列」。それが解答の大きなヒントとなります。
ぜひ基本的な問題からスタートして、考え方をしっかり身につけましょう。
公式を覚えるのでなく、公式で解く。このスタイルに慣れていけば、中学数学以降の”数楽”につながります。