還元算といわれて「うん?その言葉は聞いたことないなあ」と思う子もいるでしょう。
実はこれ、小学1年生から使っている考え方です。
分からない数字を▢として例えば「▢+ 2=5」。5-2のように逆に考えて答えを3と出しますね。
還元算が低学年から登場するのはなぜでしょう。
数学の基本分野で、その後の中学・高校数学に通じるからです。
しかも生活に使える要素がありますね。
例えば「好きなケーキが480円。でも手元には320円しかない…。
家の人からいくらもらえたら買える?」という問題。
高学年になれば簡単に160円と出せるでしょうが、これも還元算で求めていますね!
今回はその還元算のやり方をもう一度整理します。
応用問題で基礎力も確かめ、還元算を得意にしていきましょう。
きっとその後の中学・高校数学へとつながります。
加減乗除の還元算は逆算がポイント
まずは加減乗除ごとに整理しましょう。
確認ですが、「加=たし算」「減=ひき算」「乗=かけ算」「除=わり算」です。
易しい計算式で確かめますから、あまりにも簡単に感じる場合は次の章へ進んでください。
たし算の還元算
▢+2=5
これを求めるには?5-2のように、ひき算をします。
たし算の逆、逆算です。
▢=3ですね。では
4+▢=12
この場合も12-4とやれば8と出ますね。
たしかめ算で4+8=12。合っているのが分かります。
ひき算の還元算
▢ー4=2
これを求めるには2+4=6とします。
たしかめ算で6ー4=2ですから正解!では次。
11-▢=8
こちらはどうでしょう?
この場合逆算として8+11としていいでしょうか?
実はこの場合は注意が必要です!
もともとある数からある数を引いて8になっています。
例えば110円から買い物をして80円。いくら使ったか?
となれば110ー80としますよね。
つまり11ー▢=8も11-8で▢(ある数)を求められます。
かけ算の還元算
▢×8=24はどうでしょう?
こちらは普通に逆算して24÷8=3とします。
5×▢=35の場合も、同じように35÷5=7。
ではわり算はどうでしょうか?
わり算の還元算
▢÷3=9
こちらは、かけられる数が分かりませんから、9×3を計算して27。
たしかめ算で27÷3が9ですから合っていますね。
では56÷▢=8はどうでしょうか。
8×56?それをすると▢(わる数)の方が、わられる数より大きくなってしまいます。
ですから、11ー▢=8のときと同じように56÷8で求めましょう。
つまり答えは7となります。
加減乗除の還元算の場合、例外だけきちんと覚えておけばミスがなくなります。
つまり、ひき算の場合は「ひく数」、わり算の場合は「わる数」が分からないときは逆算はしません。
では、問題に挑戦してみましょう!
練習問題:計算のきまりを確認しよう
ふつう、計算の順序は次のようになります。
2.かけ算・わり算
3.たし算・ひき算
しかし、還元算の場合、計算の順は逆になります。
つまり3→2→1という順番です。
実際の問題で確かめましょう。
【問題1】12+3×(9+▢)=45の▢を求めましょう。
▢が分かっている場合は、( )の中を先に計算しますね。
しかしこの場合( )の中に▢があるので最後に残します。
最初にどこから計算しますか?
この場合( )の中を例えば〇として考えましょう。
12+3×〇=45となります。
還元算の場合、たし算・ひき算の部分を先に計算しますね。
つまり45ー12を計算し33。
すると先ほどの12+3×〇=45が、3×〇=33となるので〇=33÷3です。
つまり11。
この〇=11は、9+▢=11を表しますね。
ですから、11-9⁼2となり、▢=2となります。
たしかめ算をして確かめましょう。
12+3×(9+2)を計算の決まりの順番に合わせてやると
12+3×11→12+33は45になりますから、合っていますね。
この流れを下のように整理しました。
12+3×(9+▢)=45
3×(9+▢)=45ー12
3×(9+▢)=33
9+▢ =33÷3 となります。
9+▢ =11
▢ =11 -9
▢ =2
では次の問題です。
【問題2】72÷(12-▢)ー20=4 の▢を求めましょう。
( )の中の▢が分かりませんから、( )の部分は残しておきます。
例えばこのように考えましょう。
72÷〇-20=4。
わり算の部分を残して4+20を先に計算します。
つまり、72÷〇=4+20
72÷〇=24。
これはわる数が分からない場合の計算式ですから、逆算して24×72とはしませんね。
72÷24で3となります。
つまり12ー▢=3です。
この場合ひく数が▢ですから3+12ではなく12ー3と計算します。
つまり▢は9。
この流れを整理すると次のようになります。
72÷(12ー▢)ー20=4
72÷(12ー▢) =4+20
72÷(12ー▢) =24
(12ー▢) =72 ÷24
(12ー▢) =3
▢ =12ー3
▢ =9
このように、計算のきまりの逆算をすれば、複雑な式の還元算もできるようになります。
次は文章題です。
文章題は問題の意味をまず理解することから始めます。
その場合、言葉の式で整理しながら数字を当てはめるとミスを少なくできるでしょう。
【問題3】もっているお金の2割使ったら4000円が残りました。もっていたお金はいくらでしょうか?
この場合、もっているお金(元のお金)を▢にします。
▢の2割を使ったというのは▢×0.2となりますね。
それが4000円?実はそうではありません。
使ったお金▢×0.2は「残ったお金」ではなく、あくまでも「使ったお金」。
それが分かっているのに、ついつい=4000としてしまいがちです。
本当は
▢×0.2=▢ー4000なのです。
これですと「▢が2つ?なんだかむずかしいなあ」と思ってしまうでしょう。
そこで便利な考え方が線分図。次の図から何かヒントを得られませんか?
元のお金=▢として整理すると、
・使ったお金→▢×0.2
・残っているお金→▢×0.8=4000
つまり残っているお金から元のお金を求められるのです!
もちろん還元算を使います。
▢×0.8=4000
▢ =4000 ÷0.8
▢ =5000 ですから答えは5000円となります。
このように文章題を解く際も、還元算が分かっていれば計算ミスなく解けます。
ただ、問題の意味が分からないと式を立てるのも難しいですよね。
その場合、上記のように線分図で問われている内容を整理すると、意外と簡単に▢を使った式を導き出せます。
まとめ:まずは基本的な問題で還元算を得意に!
いかがでしたか?還元算に慣れておくと文章題にも強くなれます。
まずは基本的な問題で頭と体に覚え込ませましょう。
そしてさまざまな種類の文章題で▢を使った式を立てる練習をしてください。
その際、言葉の式や線分図で整理する方法も試してみましょう。
複雑すぎるイメージを簡単にできます。
▢を使った式が見えてくれば、還元算で解けます。
つまづいたら基本に戻る…その繰り返しで力を付けていきましょう。