「偏差値70」と聞くと、受験生の中でもトップクラスという印象がありますが、具体的に、どの位のレベルなのでしょうか。
また、その位置を目指すのであれば、どのように勉強すれば良いのでしょうか。
偏差値70とはどの程度のレベルか
まずは、「偏差値」という単語の意味について考えてみましょう。
偏差値とは
偏差値とは「ある集団における、自分のレベル・位置」を指します。
つまり、属する集団のレベルによって「偏差値70」の意味合いも違ってくる訳です。
偏差値を計るための模試は、全体に点差がつき、基本的には偏差値50が平均点になるように作られています。
この理想通りに試験結果が分布していれば、満点を取れば偏差値70~75程度の数値が出るでしょう。
ところが、全体的に平均点が高かった、というケースも出てきます。
そうすると、例え100点を取ったとしても、全体も高い訳ですから、一人も偏差値70が出なかった、ということもありえます。
その試験を受けた受験者全体の学力・点数によって数値が左右される、相対的な要素があるのが偏差値の特徴です。
ですから、勉強する上では、多少の数値の良し悪しに囚われすぎないことも大切です。
偏差値70とは
偏差値の数値についてですが、基本的に25から75程度までの数で表示されます。
ですから、大まかに言えば偏差値50が中間として、偏差値70はやはりトップクラスというイメージですね。
中学受験においては、偏差値70前後のお子さんは、受験生全体の約 2.3%程度と言われています。
同じ試験を100人が受けたとして、上の1~2人程度までですから、本当に一握りの層となります。
中学受験・模試等での偏差値70
中学受験を予定していれば、本番までに何回か模試を受けることになるでしょう。
さて、偏差値70程度のお子さんは、模試ではどの程度解けているイメージでしょうか。
前述したとおり、模試では成績を分布させるために、難易度に差をつけた問題を複数出題します。
算数のテストを例に挙げると、
(2)定石の解法パターンで解ける演習問題
(3)通常の授業では教えられず、その場で解く方法を考えるような最終問題
といった具合です。 模試を受けてみると分かりますが、模範解答とともに、正答率が出ているはずです。
(3)は正答率が2~3%程度になりますが、この問題を解けるのが偏差値70前後のお子さんです。
そして、その(3)は計算が複雑だったり、場合分け等が必要だったり、解くのに時間がかかります。
この時間を作るために、(1)や(2)あたりの問題は時間をかけず、かつケアレスミスも出さずに正解できています。
偏差値70前後の中学校とは
さて、偏差値70がトップクラスであり、狭き門であることはご理解いただけたと思いますが、実際にどのような学校があるのでしょうか。
男子中学校
東京都内では、男子御三家と呼ばれる
・麻布中学校
・武蔵中学校
が偏差値60後半~70以上となります。
また、「新御三家」と呼ばれる
・海城中学校
・巣鴨中学校
なども偏差値60後半~70程度の間を推移しています。
神奈川県では「聖光学園中学校」「栄光学園中学校」などが偏差値70を越えています。
関西に目を移すと、「ラ・サール中学校」「灘中学校」「洛南高等学校附属中学校」「東大寺学園中学校」「甲陽学園中学校」などが偏差値70以上の名門校と言われています。
公立では、筑波大学附属駒場中学校・東京都立小石川中等教育学校などが偏差値70以上となります。
特に公立は学費が安く、それでいて充実した教育環境と進学実績があるため人気が高く、倍率は私立中学よりも上になります。
女子中学校
都内では男子校と同じく、「女子御三家」と呼ばれる学校があります。
・女子学院中学校、高等学校
・雙葉中学、高等学校
の3校はやはり偏差値60後半~70程度となります。
また、「新御三家」と呼ばれる
・鴎友学園女子中学校
・吉祥女子中学校
も偏差値60後半~70程度の間を推移しています。
神奈川県では「洗足学園中学校」「フェリス女学院中学校」などがあります。
関西では、「四天王寺中学校」「神戸女学院中等部」などが偏差値70を越える名門校となります。
共学
私立では、慶應義塾中等部・渋谷教育学園幕張中学校・渋谷教育学園渋谷中学校などが挙げられます。
国立では、筑波大学附属中学校などが偏差値70程度となります。
どちらの学校もやはり教育環境が充実しており、高い進学実績を誇ります。
立地・校風・受験日・受験科目などを考慮した上で、どの学校を目指すか決めましょう。
偏差値70の目指し方
偏差値70前後の中学校となると、そうそうたる名前が並びます。
どのような勉強をしていけば良いのでしょうか。
基礎力をつける
簡単な問題は他のお子さんも解けるのですが、違うのは解く速度です。
国語であれば、文章題を読むスピードが早く、一度読んだ時点で、問題を解く上で大事なポイントを把握します。
算数であれば、問題を読みながら、効率的な解法を思いつき、計算を始めていきます。
また、国語における漢字など、知識がなければ解けない問題もあります。
こうした問題は悩まずに勘で答えるなど、「時間をかけて考えても良い問題」と「時間をかける必要がない問題」の見極めも上手いです。
時間を有効に使えるため、難問を解く可能性を上げられる訳ですね。
思考力を磨く
主に算数・理科などの理系分野の話になりますが、偏差値70に達するには、「通常の授業では教えられず、その場で解く方法を考えるような最終問題」を解く必要があります。
問題文自体が複雑で、かつ面倒な計算を求められることが多いですが、試験である以上、答えは必ずあります。
偏差値60位であればこのような問題を捨てて見直しに入るのもありですが、偏差値70を目指す場合は、諦めずにどうにか解こうと食い下がる力や、論理的思考力が必要です。
普段の勉強から、難問に当たったとき、すぐに解答を見て丸暗記…ということをしていては、こういった力は身につきません。
何なら、一日かけて解いても良いのです。
余裕のある5年生~6年生前半のうちに、時間をかけて難問に挑戦する、という経験をしておくと良いでしょう。
身の回りのことに関心を持つ
国語の読解文は一般的に、物語および説明文に分かれます。
物語はお子さんと同じ年代の主人公が多く、まだとっつき易い部分がありますが、説明文などは高校生レベルの熟語を使った文章も出てきます。
選択肢も、よく読まないと間違えやすいものが多いので、早いうちからこういった文章を読み慣れておき、何となくではなく、正確に内容を把握しましょう。
国語や社会といった科目は、「知っているかどうか」で解けるか解けないかが分かれる問題があります。
偏差値70程度になると、世界情勢や環境問題など、最近のニュースで取り扱われるようなテーマが出てきます。
日頃から関心を持っていないと、「そもそもその単語の意味を知らない」など、全く論述できないケースも出てきます。
子ども向けのニュースを扱ったインターネットサイトや新聞がありますので、日常生活の中でこういったものに目を通すようにすると良いでしょう。
また、「知っている」だけでは当然、論述することができません。
内容を理解した上で、「自分はどう感じたか」「自分ならどうするか」等、当事者意識を持って説明する力が必要になります。
まとめ
受験はひたすらに偏差値を上げるゲームではなく、お子さんの個性に合った学校に入るという目的があります。
ただし、偏差値が高い学校は総じて、質の高い教育環境に恵まれていることも事実です。
名前を挙げた学校も、偏差値以外にそれぞれの特色があります。
偏差値70以上の学校をよく調べ、やはり入りたいと感じたなら、そこに向かって努力することにもやりがいを感じられるでしょう。