中学受験において、偏差値はとても気になる指標です。
この偏差値とはどういった基準の数値なのか、どういう風に活用すればいいのか、などについて説明します。
また、「小学生偏差値」をアップさせるおすすめの方法についても紹介していきます。
偏差値とはどういったものなのか?
中学受験を始めていくと、志望校の合格ラインにはこれくらいの偏差値が必要といったことを耳にすると思います。
模試を受けると、得点とは別に偏差値が出ていて、国語の得点が50点で偏差値55なのに、算数の得点が70点で偏差値45なんてことがよくあります。
この場合だと、得点が高い算数の方が国語よりも偏差値が低くて、不思議に思うでしょう。
ここからは偏差値はどのようにして作られるものなのか、そこからわかること・小学生偏差値の活用法について紹介していきます。
偏差値とは自分の位置を示す数値
偏差値とは母集団と呼ばれる、そのテストを受けた人たちのなかで自分がどの位置なのか、どのレベルなのかを示している数値です。
数値が高ければ上位に属し、数値が低ければ下位に属しています。
偏差値は理論上はマイナスや100を越えることもありますが、一般的なテストの場合25から70程度の数値になります。
偏差値は何で決まるものなの?
偏差値を決めるのは母集団の構成メンバーです。
簡単に言うと、どんな人たちがそのテストを受けたかで偏差値が変わります。
例えば、テストを受けた同学年の母集団が
1)全国の小学生の場合、2)中堅レベルの学校を目指す小学生の場合3)難関校を目指す小学生の場合
だとします。
中堅校レベルの勉強をしている子どもが1)・2)・3)のテストを受けた場合、
1)の結果が最も偏差値が高くなり、2)は平均程度、3)は最も偏差値が低くなる、
という傾向があります。
つまり、学力が高い難関校志望の小学生たちに混じって、テストを受けると自分の位置はいつもよりも下位になりがちという意味です。
それらを踏まえて、偏差値50ってどういう状態?
そこで偏差値50というのは、その母集団のなかで真ん中ということです。
1000人が模擬テストを受けた場合、偏差値50だと得点は平均点です。
また順位はちょうど500番目という位置になります。
そこで大切なのが先ほど説明した「どんな母集団」で受けたテストなのかということです。
同じ偏差値50でも、難関校志望の小学生たちが受けるテストでの偏差値50と日本全国の小学生たちが受けるテストでの偏差値50とではその意味が変わってきます。
そのため、偏差値を見る時は必ずどういう人たちが受けたテストなのかを理解しておくことが大切です。
それによっては、偏差値50が必ずしも悪いということにはなりません。
むしろ良い場合もあるのです。
中学受験は偏差値どれくらいが必要?
私立中学を受験をする小学生は、受験熱が高いと言われている首都圏であってもわずか18.7%と20%未満です(※1)。
中学受験をする子どもは増えてきていると言いますが、全体でみるとまだ少数派です。
そういった中学受験志望の母集団の中で模擬テストをした場合、偏差値50もあればまずは十分で、40もあれば中学受験に挑む学力が備わっていると言えます。
また、偏差値はあくまでもその時点での自分の位置を示すものなので、この数値で中学受験をするしないを決めるものでもありません。
参考データとして客観的に見るためのものです。
※1=令和3年度公立学校統計調査報告書【公立学校卒業者(令和2年度)の進路状況調査編】・調査結果の概要(小学校・中学校・義務教育学校)
偏差値の活用時に注意すること
偏差値を活用するときには、ちょっとした注意や心構えが必要です。
母集団によって偏差値は決まる、中学受験の小学生たちが母集団の場合の偏差値50は決して悪い数値ではない、など説明されてもやっぱり一喜一憂するのが偏差値です。
偏差値は上手く使えばモチベーションのアップや維持に繋がりますが、間違った使い方をすると判断を誤ったり日々の学習意欲が減退することにもなりかねません。
ここでは偏差値の活用時にどういうことに注意すれば良いか、説明していきます。
偏差値を比較する場合は、同じ模擬テストで
偏差値を活用・参考にする場合は、同じ模擬テストを受け続けることが大切です。
模擬テストは種類によって、難易度や母集団が変わります。
種類の異なる模擬テストで偏差値の比較をしても、偏差値の意味がそれぞれ異なるため比較の意味を成しません。
そのため、これはと決めた模擬テストはずっと受け続けましょう。
その際、模擬テスト結果の偏差値を時系列で比較して、どう変化しているかを見ていくことがポイントです。
偏差値の推移を見ながら模擬テストの問題を見比べて、どこが得点できていなかったのかを分析してください。
また、力試しのように様々な模擬テストは受けても良いですが、偏差値を比較するための模擬テストをどれにするかは、決めておいてください。
偏差値を気にするのは6年生の夏休み明けから
小学四年生や五年生の模擬テストの偏差値はあまり気にする必要はありません。
六年生になっても気にするのは、夏休み以降の9月ごろで十分です。
それまでの模擬テストの偏差値というのはまだ伸びきっていない子どもたちの学力の結果です。
夏休みが明けたころには、基礎力がしっかりと身に付いていて、発展・応用力を磨く頃です。
このあたりから本番想定の学力比較ができます。夏休み明けの模擬テストから、偏差値を意識しても良いでしょう。
小学生偏差値を上げるための4つの方法
偏差値を上げるための方法、特に模擬テストを活用してどのように偏差値を上げていけば良いのかについて説明します。
1)模擬テストを1週間以内に解きなおす
模擬テストは4教科それぞれ50分で、200分近く集中して取り組むテストです。
一日の集中力を使い切る程疲れてしまいまうものです。
模擬テストが終わったら、1週間以内には一通りできなかったところを解答・解説を見ながら解きなおししましょう。
もし、解答・解説をテストが終わった日にもらえたら、その日のうちに全く手が出なかったところは解いてみてください。
手元に答案のコピーがある場合は、自己採点をその日に行い
1)間違えた問題 2)全くできなかった問題の順に解きなおしをします。
せっかくたくさんの時間をかけて、模擬テストをしたことを無駄にしてはいけません。
問題を集中して解いた記憶が残っているうちに解きなおすことで、記憶に深く定着します。
2)結果が出たら、正答率を見ながら解きなおす
模試は1ヶ月程度で結果のレポート・偏差値が届きます。
偏差値が気になるところですが、一通り目をとおしたら、まず各教科ごとの問題単位で正答率について確認してください。
正答率が高い問題を間違っている場合は、落としてはいけない問題として捉えて確実に解けるようにしましょう。
また、正答率が低い問題は解けるようになれば差がつく問題です。
ただし、時間配分のなかで解けないと意味がありません。
その問題に与えられる時間を決めて、その時間内で解けるように解きなおしをしてください。
極端な難問は本番でも解けるかはわかりませんが、せめて解き方だけは理解するようにするのが良いです。
3)模擬テストを1ヶ月後に再度同じ時間をかけて解答する
模擬テストは単元が区切られて出題されるため、その単元ごとの重要ポイントが出題されています。
つまり模擬テストは「いい問題」の宝庫なのです。
しかも、類題が今解けなくても次見たら、必ず解けないといけない問題であるということです。
模擬テストは見直しや解きなおしまではよくします。
1回程度なら解きなおすこともあります。
ただ、とても重要なのはもう一度模擬テストと同じような環境で解けるかということです。
制限時間も模擬テストと同じ設定にしてください。
こうすることで、1週間以内に解きなおした模擬テストが1ヶ月後に再テストすることで、しっかりと実力となっていきます。
4)それでも間違う問題は、ノートに貼る
上記の方法で取り組むと模擬テストは、3回も解きなおすことになります。
これでおおむね模擬テストの問題と答え方や暗記すべきところはマスターできたと思います。
ですが、それでも間違ってしまう問題もあります。
入試では満点を取ることが目的ではありませんが、入試までは目の前にある問題は全て解けるようにしておくことが大切です。
メンタル的にもできない問題があると思ったまま入試本番に挑むのは不安です。
何度解いても間違う問題は、問題をコピーしてノートに貼ってまとめるのがおすすめです。
左ページに問題、右ページに解答・解説という形で大きくノートを使って、いつでも見直せるようにしておくと良いでしょう。
偏差値に振り回されないようにすることが大切
偏差値は志望校を決定するときの判断基準ですが、それだけで志望校を決めるものでもありません。
この学校に行きたい、という気持ちが最も重要です。
偏差値はあくまでも自分の位置を知るための目安です。
本番の入試で模擬テストの母集団全員が集まって試験を受けるわけではありません。
そういう点では模擬テストはシミュレーションであり、偏差値はシミュレーションの結果にすぎません。
いまこの位置にいるから、どこを頑張ったら伸びるかな?といった視点で学習を積み重ねることがポイントです。
特に模擬テストは繰り返し解くことで、確実に力になります。
解きなおして身に着けていくと、模擬テストの結果が出たときよりも、偏差値はグンと上がっているはずです。
できるようになるまでコツコツと解くというスタイルで受験勉強に挑んでください。