こんにちは!
大学受験エリートのSuuです。
高校数学の勉強ポイント、見どころなどを紹介する、
るるぶ高校数学のシリーズです。
今回は、
数Ⅰ 集合と論理 その3 命題の否定
です。
→前回
前回は、「数学脳」の感覚に注目して紹介しました。
残念ながら、「問題の解き方を覚える」という感覚だと、
数学的な感覚を養うのが難しいです。
前回のテーマも重要なので、時間をかけて鍛えていきましょう。
今回は、
命題の否定
の勉強法について紹介します。
前回とは打って変わって、
理解よりも、まずは機械的に覚えよう
のスタンスになっています。
決して、「理解できなくてもいい」わけではありません。
ですが、まずは機械的に処理できることが大切だと思っています。
命題の否定は、それ自体が入試で問われるというよりも、
大学入試の実戦で役立つ 証明テクニック
を使うために必要になります。
命題の否定がパッと見えないと、証明テクニックどころではなくなります。
そういった事情もあって、
まずは機械的な処理として練習することをオススメしています。
ポイント① 命題の『否定』で入れ替わるペアを覚えよう
色々な証明テクニックを使うためには、
命題の『否定』
がスラスラ書ける必要があります。
命題の『否定』については、かなり機械的に処理することが可能です。
具体例を見ましょうか。
x=0 の否定は x≠0
x ≧ 0 の否定は x < 0
どうでしょう?
『=』は『≠』に入れ替わり、
『≧』は『<』に入れ替わっています。
このように、否定するときに「入れ替わるペア」に注目して覚えていくとよいです。
もちろん、この入れ替わるペアは「逆の意味をもつもの」です。
機械的に処理した後は、
記号の意味に注目して命題を観察しましょう。
「逆の意味」とはどういうことか、観察を通じて後からの理解でもOKです。
次の具体例をみましょう。
『x=0 かつ y=0』の否定は『x≠0 または y≠0』
『すべてのxについて、x2≧0』の否定は『あるxについて、x2 < 0』
『=と≠』、『≧と<』の入れ替わりは、さきほどの例と同じです。
今度はさらに、
『かつ』は『または』に入れ替わり
『すべて』は「ある』に入れ替わり
の入れ替わりが追加されています。
『かつ』と『または』
『すべて』と『ある』も定番の入れ替わりペアです。
意味を理解するのが難しいので、最初は機械的な暗記でも構いません。
少しずつ意味を考えながら、理解していきましょう。
このように、
「入れ替わるペア」のパターンを覚えておくのが、
命題の『否定』をスラスラ書けるようになるコツです。
命題・論理の扱いが得意な人ほど、『否定』の操作は機械的にやっていると思います。
機械的に『否定』を書いた後で、意味を考えて確認するスタイルがオススメです。
ポイント③ 『P ⇒ Q』 の否定は 『PだけどQでないものがある』
入れ替わりのパターンを覚えたら、
『P ⇒ Q』
の否定を考えましょう。
『P ⇒ Q』の意味は、
『Pが成り立つとき、必ずQが成り立つ』
でした。
これを否定すると、
『Pが成り立っているのに、Qが成り立たないことがある』
です。
『Pが成り立つとき、Qは絶対成り立たない』
という意味にしないよう、注意が必要です。
ここは、
『P⇒Q』の理解ができていないと、習得が難しいです。
『P⇒Q』の真偽判定を繰り返し練習して、
その意味が習得できてから手を出すのが理想です。
そうでない間は……
仕方ないので、「そういうものだ」で納得しておくのがオススメです。
一応、ヒントになりそうなことを書いておきます。
「必ず~~~が成り立つ」
を否定したときに入れ替わるペアは、
「~~~が成り立たないことがある」
という風にとらえるといいですね。
(「必ず~~~が成り立たない」ではないことに注意!)
勉強ポイント①、②を高いレベルで習得できれば、
『すべての正の数xについて、ある自然数N0があって、
N≧N0 ⇒ 1/N < x』
の否定をサラサラと書ける……かもしれません。
『ある正の数xがあって、すべての自然数N0について
N≧N0 だが 1/N ≧x となる自然数Nがある』
となります。
複雑そうですが、入れ替わりのペアを正確に入れ替えて、
『P⇒Q』の否定を丁寧に処理しているだけだったりします。
(ここまでいくと大学受験では不要な技術なので、気にしなくてOKです 笑)
ポイント③ 集合と対応させて理解する
上級者は、しっかり集合と対応させながら理解していきましょう。
命題の『否定』は、
集合では『補集合』
と対応します。
x=0 の否定は x≠0
x ≧ 0 の否定は x < 0
という例を出しましたか、集合の見方もしておきましょう。
『実数全体』を全体集合とすると、
{0} の補集合は {0以外の実数}
{x|x≧0} の補集合は {x|x <0}
となります。
命題の否定の操作と、集合の補集合をとる操作がキレイに対応していますね。
『かつ』や『または』が絡む場合も同様です。
『かつ』と『または』が命題の『否定』で入れ替わることは、
『∩』と『∪』が『補集合』で入れ替わることと対応しています。
このように、命題の処理は集合の処理と密接に関わっています。
『P⇒Q』の否定を、集合の言葉で表すとどうなるか?
などの難しい課題にも、ハイレベルを目指す人は挑んでみましょう。
次回が「集合と論理」の最終回です。
大学入試の数学で、実戦級となる証明テクニックを扱う回になります。
ただし、その証明テクニックを使うためには
命題の否定
がサクサク書けたり、頭に浮かんだりすることが必須です。
前準備が長くて大変ですが、しっかり練習しておきましょう。