こんにちは!
大学受験エリートのSuuです。
高校数学の勉強ポイント、落とし穴などを紹介する
るるぶ高校数学のシリーズです。
今回は、
数Ⅰ 2次関数 その6 2次方程式
です。
→前回
2次関数の最大・最小はいかがでしょう。
場合分けが入った応用編は、中々に大変です。
習得するまでにかなりの練習が必要だと思います。
前回、前々回の記事も参考にしながら、じっくり取り組みましょう。
さて、今回は2次方程式の話題に入ります。
中学校でも習っている内容ですし、
「2次方程式の解き方」
自体は、中学校から変わりません。
そういう意味では負担の軽い内容なので、安心してのぞみましょう。
中学校と同じ! では味気ないので……
高校の数学としてはどこに注目するのか?
にも注目して、この記事では紹介していきましょう。
ポイント① 因数分解、平方完成、解の公式の3パターンの解法を整理しよう
2次方程式の解き方は次の3パターンです。
パターン㋐ 因数分解
2x2+x-1=0
(x+1)(2x-1)=0
x=-1,1/2
パターン㋑ 平方完成
(x-1)2=9
x-1=±3
x=1±3
x=4,-2
パターン㋒ 解の公式
x2+x-1=0
x=(-1±√5)/2
㋐の因数分解は、
決まれば解の公式に比べて圧倒的に早い
というのがメリットですが、一方で
因数分解できる場合でないと、解けない
というデメリットがあります。
㋑の平方完成は、
特定の形なら最速で処理できる
というメリットがある一方、
一般形から平方完成すると大変
というのがデメリットです。
㋒の解の公式は、
どんな形の2次方程式でも処理できる
というのが自慢です。一方で、その汎用性の代わりに
計算が一番大変
という悩みを抱えています。
考える順番としては、特殊性が高く、決まったときのメリットが大きい順に疑います。
つまり、
㋑ 平方完成
㋐ 因数分解
㋒ 解の公式
の順番に考えましょう。
具体的には、
すでに平方完成されていて、平方根をとるだけで解ける形になっていないか?
→因数分解を利用して解けないか?
→仕方ない、解の公式を使おう
という順番で考えていきます。
基本問題で十分ですから、繰り返し2次方程式を解く練習をして、
もっとも的確な方針で解けるようになりましょう。
ポイント② 応用問題では、解の公式はなるべく使わない
これは上級者向けのアドバイスです。
解の公式は、どんな2次方程式に対しても解を与えてくれます。
その汎用性は大変魅力で、色々な場面で使いたくなります。
ただ、係数に文字入った実戦的な2次方程式では、
むしろ
解の公式をいかに使わないで戦うか
を考えることも重要です。
解の公式を使うと、「±」が出て来たり、平方根が出て来たりして、
その後の処理が厄介になることが多いです。
上級者は、解の公式では解決できない問題が、
今後色々と出てくることも頭の片隅に入れておきましょう。
ポイント③ 2次方程式をグラフと対応させて捉える
ここが、中学数学との違いです。
2次方程式の解が、
グラフとx軸の交点
であることをしっかり意識しましょう。
2次方程式の解の挙動は、
2つの異なる実数解をもつ
重解をもつ
実数解をもたない
の3パターンがあります。
このそれぞれのパターンについて、
関数のグラフはどうなっているのか?
がパッと浮かぶようにしましょう。
この、
方程式の解→代数的な情報
グラフのようす→図形的な情報
をしっかり対応させて理解していることがポイントです。
そうそう……方程式の「解なし」って何?
と悩む人は、
「方程式の意味」
「解の意味」
を見直しましょう。
また、「解なし」の解釈も、
グラフと対応させると納得しやすいです。
関数とグラフ、方程式を対応させる考え方は、2次関数に限らず、
今後の関数の扱いの基本になります。
キッチリ意識して、習得しましょう。
ポイント④ 判別式もグラフのようすと対応させて理解する
新しい道具として、
判別式
を習うはずです。
判別式は、最初は慣れない考え方かもしれません。
判別式の符号を見れば、2次方程式の実数解の個数が分かる
というものです。
イメージとしては……そうですね、直線y=ax+bの傾き「a」が近いかもしれません。
傾き「a」の符号で、直線のグラフが右肩上がりが、右肩下がりかが判定できます。
同じように、「判別式の符号を見れば、2次方程式の実数解の個数が分かる」ようなイメージです。
この判別式も、単に「実数解の個数」ではなく、
グラフのようすと対応させて理解しましょう。
判別式の符号と、x軸との位置関係の対応関係がスッと浮かぶことがポイントです。
ポイント⑤ 実は、2次方程式の判別式は……
これは、上級者向け……いや、マニア向けの補足ポイントです。
普通の受験生は気にしなくてOKです。
非常に個人的な悩みなので、読み飛ばすのを推奨します。
判別式なのですが、3次、4次、……と、何次の方程式に対しても定義されます。
その判別式は、
「重解をもつかどうか」
を判定する道具です。
難しい話になりますが、
「解の差積の2乗」
が判別式の定義です。
定義からただちに、
重解をもつ⇔判別式=0
が従います。
一方、「解の差積の2乗」は「解の対称式」であるため、
解の基本対称式……つまり、もとの方程式の係数で表せます。
(解と係数の関係ですね。)
ごちゃごちゃと抽象的な話を並べました。
理由をすっ飛ばして結論を書くと、
判別式は、元の方程式の係数から計算できて、
判別式の値から重解の判定ができる
ということです。
つまり、
「方程式の解」が何かは分からないのに、
方程式が重解をもつかどうかが分かる
というのが判別式のミソです。
ここが、判別式の美味しいところなのですよね。
だから。
2次方程式のように、簡明な解の公式があって、
「解が分かっている」方程式に対しては、
判別式のありがたみがない
という感覚があります。
そのため、個人的に2次方程式の判別式はあまり好きではありません。
「判別式D!」とカッコつけていうのが、ちょっと違和感があります。
以上、個人的な小言でした。
2次方程式の勉強は、グラフとの対応を意識しましょう。
判別式も、最初は慣れないと思います。
そもそも、具体的な方程式に対しては判別式の意味はありません。
重解かどうかなんて、解を求めてしまえばいいのですからね。
判別式が役に立つのは、
「具体的な解が分からない、分かりにくい」
状況です。
そうですね……例えば、
係数に文字が入っている
ような場合です。
そのため、判別式が真価を発揮するのは応用問題になります。